令和2年度 労災特別介護施設入居者制作の作品紹介

当財団では、全国の賛助会員の皆様から寄せられた賛助金により、不慮の労働災害及び通勤災害により重度の障害を負われた重度被災労働者が、制作された作品を広く一般に発表する場を提供することを目的として、労災重度被災者作品展を毎年開催しております。
令和2年度の労災重度被災者作品展は、令和2年10月に北海道札幌市での開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から開催を中止することとしました。
このため、本ページでは、労災特別介護施設に入居されている労災重度被災者の方々が制作された、絵画、手工芸品など12点の作品をご紹介したいと思います。

作品紹介

※ 写真をクリックすると大きく表示できます。

作品写真

題名:猫のペーパークラフト
製作者:伊藤 弘子(75歳)
障害部位:脊髄損傷 障害1級
入居施設:北海道労災特別介護施設

以前から猫が好きでした。施設では猫を飼えないので療法士の先生にお願いしてインターネットからデザインを印刷してもらいペーパークラフトを作成しています。単色の猫よりキジ猫の方が色を貼り付けるのに細かく時間がかかり大変でした。
元々は手指のリハビリのために始めたのですが、一度作り始めると夢中になってしまうことが悩みの種です。ペーパークラフトには動物、乗り物、建物等色々あるのですが私は猫しか作りません。自分の部屋だけでなく、ラウンジや空いているスペースを見つけて飾っています。皆さんの心が穏やかであるように願い込めて…そして新型コロナウイルスが早く収束しますよう祈っています。

作品写真

題名:不眠症
製作者:松丸 文雄(58歳)
障害部位:頭部外傷(高次脳機能障害) 障害1級
入居施設:千葉労災特別介護施設

色鉛筆画。心にひらめいたものを作品にしています。1,000枚以上の作品を描いています。
なかなか眠ることができず、気が付いたら朝になっていたので慌てて起きたイメージを、作品にしました。

作品写真

題名:散歩の風景
製作者:山中 勇次(70歳)
障害部位:頚髄損傷 障害1級
入居施設:愛知労災特別介護施設

散歩の時に撮影しました。車では気づかない風景も車椅子で移動していると撮影したくなる風景に出会います。なので、散歩の時にはカメラを持っていき、気に入った風景があると写真に収めます。
四肢に障がいがあり、指を動かすことも不自由で、カメラを持つ事も、シャッターを押すことにも苦労します。散歩道は傾斜のきつい坂も多く、坂の途中で電動車椅子のバランスを注意しながら、手持ちで撮影しています。望遠を使って撮影することもあります。

作品写真

題名:納涼祭
製作者:告井 英紀(71歳)
障害部位:頚髄損傷 障害1級
入居施設:愛知労災特別介護施設

パソコンソフトを利用し、写真をカットして合成し、一枚の絵を仕上げます。背景の花火は、ネットから探しました。20年以上作品作りをしています。
頚髄損傷を受傷しました。四肢が不自由ですが、手に残ったわずかな機能を使って作成しています。最近はソフトも進化していて、手書きをしていた作業もタブレットのペンを手に挟み作成しています。

作品写真

題名:鸚鵡・花瓶
製作者:佐藤 隆信(69歳)
障害部位:脊髄損傷 障害1級
入居施設:愛知労災特別介護施設

折り紙手芸の作品です。紙質は折り紙と同様の薄いもの、上質紙のやや厚いもの、厚手の金銀、と様々ですが、一定の形に折った用紙のパーツを、ひとつの作品を作るのに、800~1000個用意するので、準備段階で根気がいります。用紙の質によって仕上がりが違ってきます。ひとつ、ひとつ差し込んで立体的に組み立てていくのですが、接着は最小限の使用なので、取扱注意です。
「指先を使っての作業なので、リハビリに良い」と、通所施設の先生に勧められました。初めは何も分からないので、本を借りて自分で勉強しながらの試行錯誤でした。作成には、目が疲れ・肩は凝るのですが、仕上がった時の達成感は何とも言えない最高の気分になります。

作品写真

題名:彼岸花
製作者:若林 幸男(75歳)
障害部位:頚髄損傷 障害1級
入居施設:愛知労災特別介護施設

切り絵を教えてくれた先生からいただいた写真をもとに作成しました。10年以上前から作品作りをしています。作品は黒い台紙を切り取り、下の色紙を出して作成します。下の色紙に和紙を使いたいのですが、良質な和紙を手に入れるのが難しく、苦労しています。
紙を切るのに力がいりますが、指に力が入らないので、自分で鉛を溶かして手作りの重りを作り、紙が動かないように重石として使用しています。

作品写真

題名:稔りの秋
製作者:西村 道子(56歳)
障害部位:脳挫傷 障害1級
入居施設:愛知労災特別介護施設

気分転換で絵でも書いてみたらと勧められ、最初はあまり気持ちが乗りませんでしたが、今では唯一の楽しみとなりました。
高次脳機能障害で、車いすの生活を余儀なくされました。左手だけを頼りにする生活を送っておりますので、作品を仕上げるのには、相当の時間がかかりますが、絵が仕上がったときは、達成感と喜びで一杯です。

作品写真

題名:スカイツリー
製作者:林 幸子(64歳)
障害部位:頚髄損傷 障害1級
入居施設:愛知労災特別介護施設

959ピースのモザイクアートのジグソーパズルです。
交通事故で、頚髄を損傷し、四肢が不自由となりました。指先が不自由なことから、各ピースを掴むことが難しいので、組んでいくのに時間がかかり、大変苦労しました。リハビリを兼ねて頑張って作りました。

作品写真

題名:大日如来
製作者:藤井 伸行(64歳)
障害部位:頭部外傷 障害2級
入居施設:大阪労災特別介護施設

輪郭を毛筆を使って墨で書くのですが、直線やカーブを描くのが難しく、飾り物が多くありそれぞれが小さいため苦労しました。陰影をつけて立体感が出るように色塗りをしました。

作品写真

題名:「ボール」の模写
製作者:松本 洋一(57歳)
障害部位:脊髄損傷 障害1級
入居施設:大阪労災特別介護施設

大好きなヴァロットンの作品です。初めての油絵だったので、たいへんでした。

作品写真

題名:愛犬ハチ
製作者:松尾 正(69歳)
障害部位:頚髄損傷 障害1級
入居施設:愛媛労災特別介護施設

受傷後は、両腕が全く動きませんでした。施設入所後、毎日リハビリに励んだ結果、利き腕ではない左腕が、前後左右50~60センチ、上は顔のあたりまで、ゆっくりですが動くようになりました。
リハビリの一環で絵画を始めましたが、握力がないので自助具をつけ、鉛筆を手に固定し、一本一本丁寧に線を積み重ねることに全力を注ぎました。
絵の題材の「ハチ」は12年前、近くの山中で保護し自宅で飼うことにした子犬です。私に良くなついていました。外で飼っていましたが、近寄るとすぐそばに寄ってきて、じっと横に座ってくれました。今でも元気で走り回る「ハチ」を思い出すことがあります。

作品写真

題名:四季の彩り
製作者:篠原 秀雄(66歳)
障害部位:頚髄損傷 障害1級
入居施設:熊本労災特別介護施設

受傷してからは特に上半身に力が入らず、ひとつひとつの動作を大切にしています。
教えて頂いた絵手紙は一生懸命、丁寧に書くことに心掛けています。作業は少しずつしか進みませんが、根気強く作成するのが楽しみです。

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